青い花束
          
          ☆★☆

「遅かったね。大丈夫だった?」


教室に入ると、紗那がゼッケンを付けながら待っていた。


「うん、ごめんね。」


私が謝ると、紗那は「いいよ!」と笑った。


「あーちゃん、誰かと一緒にいたの?話し声が聞こえたけど。」


「あ、途中で先生に会って。教室まで送ってくれたみたい。」


私は紗那の隣に座って、付け終わったゼッケンを見る。


わわ、全部めちゃくちゃキレイに縫い付けてある。


何でもできるんだなあ…………ん?


「その先生って唯斗先生…「紗那!もしかして、もうゼッケン全部付け終わる!?」」


私は全部の体操服にゼッケンが付いている事に気付き、声を上げた。


「あ…うん。今やってるのが最後だよ?」


うわー…結局全部やらせちゃった…。


「本当にごめん、紗那!」


紗那に向かってガバッと頭を下げる。


「え、全然いいよ!私に付き合って立候補してくれたんでしょ?1人だったら心細かったもん!」


「紗那ぁ〜」


「それに、あーちゃんはケガしてまで手伝ってくれたじゃん!それだけで十分だよ!」


「……大好き!」


私は我慢できずに抱きついた。


紗那は本当に優しい。


誰かが失敗しても、いつも絶妙なフォローで場を和ませてくれるのだ。


「私、何があっても紗那だけは裏切らないからね!」


「え〜?なにそれ〜?」


私達は抱き合いながら2人でクスクスと笑い合った。


「ところで、さっき会った先生って…」


ガラガラガラ〜…


教室の扉が開く音がしたので振り返ると、圭太が立ってこちらを見ている。


げっ。面倒くさいヤツが来た…


「えっと、俺ジャマしちゃった?」


「うん、すっごく。」


その質問に即答すると、圭太は悲しんだような驚いたような微妙な顔をした。


「け、圭太くん違うからね!そう言う関係じゃないからね!」


紗那が慌てて否定すると、今度はホッとしたような顔になる。


一瞬ホントに信じたのね…。
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