青い花束
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「遅かったね。大丈夫だった?」
教室に入ると、紗那がゼッケンを付けながら待っていた。
「うん、ごめんね。」
私が謝ると、紗那は「いいよ!」と笑った。
「あーちゃん、誰かと一緒にいたの?話し声が聞こえたけど。」
「あ、途中で先生に会って。教室まで送ってくれたみたい。」
私は紗那の隣に座って、付け終わったゼッケンを見る。
わわ、全部めちゃくちゃキレイに縫い付けてある。
何でもできるんだなあ…………ん?
「その先生って唯斗先生…「紗那!もしかして、もうゼッケン全部付け終わる!?」」
私は全部の体操服にゼッケンが付いている事に気付き、声を上げた。
「あ…うん。今やってるのが最後だよ?」
うわー…結局全部やらせちゃった…。
「本当にごめん、紗那!」
紗那に向かってガバッと頭を下げる。
「え、全然いいよ!私に付き合って立候補してくれたんでしょ?1人だったら心細かったもん!」
「紗那ぁ〜」
「それに、あーちゃんはケガしてまで手伝ってくれたじゃん!それだけで十分だよ!」
「……大好き!」
私は我慢できずに抱きついた。
紗那は本当に優しい。
誰かが失敗しても、いつも絶妙なフォローで場を和ませてくれるのだ。
「私、何があっても紗那だけは裏切らないからね!」
「え〜?なにそれ〜?」
私達は抱き合いながら2人でクスクスと笑い合った。
「ところで、さっき会った先生って…」
ガラガラガラ〜…
教室の扉が開く音がしたので振り返ると、圭太が立ってこちらを見ている。
げっ。面倒くさいヤツが来た…
「えっと、俺ジャマしちゃった?」
「うん、すっごく。」
その質問に即答すると、圭太は悲しんだような驚いたような微妙な顔をした。
「け、圭太くん違うからね!そう言う関係じゃないからね!」
紗那が慌てて否定すると、今度はホッとしたような顔になる。
一瞬ホントに信じたのね…。