青い花束
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次の日。体育祭当日。
「紗那は何の種目に出るんだっけ?」
私は教室で紗那に髪を結ってもらっていた。
「借り物競争だよ〜。」
「借り物競争かあ…。どーする?お題で『好きな人』とか出ちゃったら!」
「ええええ…!」
私が少し意地悪を言うと、顔がみるみる赤くなってゆく。
そんな紗那が可愛くて、もっと意地悪をしたくなる。
「紗那は可愛いから、立候補者が出るかもよ〜?」
「あ、ありえないよ…っ!」
紗那はより一層顔を赤くして、ブンブンと首を振った。
あ〜、可愛い♪
「ごめんごめん、冗談だよ。でも、今好きな人いないのに本当にそんなの出ちゃったら困るよね〜」
「そう…だね。」
何だか急に紗那の元気が無くなった気がしたので、後ろを向こうとしたら、「動かないで!」と怒られた。
「よし、できたよ!」
鏡を貸してもらって髪を見ると、ポニーテールになっていた。編み込みまで入ってる。
私、いつも髪は下ろしてるからなあ…
不器用だからアレンジなんてできないし。
そう思うと、いつもと違う自分に嬉しくなった。
「ありがとう!」
私がニコッと笑ってお礼を言うと、紗那も笑い返してくれた。
紗那も自分の髪を結い終わり、校庭にあるクラスのテントへ向かう。
私達は話しながらゆっくりと歩いていた。
すると突然、誰かに頭を小突かれた。
なんか、前にもこんな事あったような…?