青い花束


ガラガラガラ…ピシャン


私は保健室から出ると、張りつめていた糸が切れた様な気分になった。


ズルズル…と壁に座り込む。


その途端、手の甲に水らしき物が落ちてきて、視界がぼやける。


自分の頬を触ってみると濡れていた。

 

「なんで泣いてるんだろう…」



泣いている自分が不思議でしょうがなかった。


不思議な事なんてまだまだある。


どうして、先生の笑顔が眩しく見えるんだろう。


どうして、先生に頭を撫でられるとドキドキするんだろう。


どうして、紗那と先生が一緒にいる所を見て胸が傷んだんだろう。


どうして、私は先生の言葉に一喜一憂しているんだろう。


どうして、どうして…


本当はもう、この気持ちの答えなんて分かってる。


心のどこかでは分かっていたのに、私が気付かないフリをしていただけ。




「私は、先生の事が好きなんだ…」




思わずそう口に出した時、私の頭に浮かんだのは先生ではなく……紗那の顔だった。
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