青い花束
  
         ☆★☆

「体育祭楽しかったなー!」


「アンタほとんどいなかったじゃん。」


体育祭後の帰り道。


最寄り駅から家まで歩いている私達。


私と圭太は家が隣同士なので、歩く方向は一緒だ。


「なあ、碧。」


「なーにー。」


私は適当に返事をする。


どうせ今日のテレビがどうとか、どうでもいい事ばっかりなんだもん。


でも、圭太はいつもと違う話を持ちかけてきた。


「なんで泣いた?」


「…え?」


驚いて圭太の顔を見ると、珍しく真剣な顔をしている。


泣いた所見られてた…!?


いやでも、あの時は絶対誰もいなかったし…


他の場面で泣いた所を見られたのかと思ったけど、


今日一日を思い返しても、私が泣いたのはあの時だけだった。


「何言ってんの?私泣いた覚えないけど。」


私は、冗談を言っているんだと思っていつもの調子で返す。


しかし、圭太は真剣な顔をしたまま続けた。


「目元が少し腫れてるし、声も枯れてる。」


「うそっ!ちゃんと顔洗ったのに!」


あ…これじゃあ泣いたって認めちゃってるじゃん…


「やっぱり泣いたんだな。」


「なんでそんな事分かるのよ…」


「分かるよ。いつも一緒にいるんだから。」


「登下校の時だけだし…」


私がそう言うと、圭太は私の前に立って道を塞いだ。
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