青い花束
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「体育祭楽しかったなー!」
「アンタほとんどいなかったじゃん。」
体育祭後の帰り道。
最寄り駅から家まで歩いている私達。
私と圭太は家が隣同士なので、歩く方向は一緒だ。
「なあ、碧。」
「なーにー。」
私は適当に返事をする。
どうせ今日のテレビがどうとか、どうでもいい事ばっかりなんだもん。
でも、圭太はいつもと違う話を持ちかけてきた。
「なんで泣いた?」
「…え?」
驚いて圭太の顔を見ると、珍しく真剣な顔をしている。
泣いた所見られてた…!?
いやでも、あの時は絶対誰もいなかったし…
他の場面で泣いた所を見られたのかと思ったけど、
今日一日を思い返しても、私が泣いたのはあの時だけだった。
「何言ってんの?私泣いた覚えないけど。」
私は、冗談を言っているんだと思っていつもの調子で返す。
しかし、圭太は真剣な顔をしたまま続けた。
「目元が少し腫れてるし、声も枯れてる。」
「うそっ!ちゃんと顔洗ったのに!」
あ…これじゃあ泣いたって認めちゃってるじゃん…
「やっぱり泣いたんだな。」
「なんでそんな事分かるのよ…」
「分かるよ。いつも一緒にいるんだから。」
「登下校の時だけだし…」
私がそう言うと、圭太は私の前に立って道を塞いだ。