青い花束

          ☆★☆

「じゃあ、また明日。」


「あ、うん…バイバイ」


放心状態で圭太に連れられるまま歩いていたら、いつの間にか家に着いていた。


圭太と別れ、家の中に入る。


「ただいま…」


「あら、おかえり。」


リビングからお母さんが顔を出した。


「おやつあるわよ?食べる?」


「ん…今日はいいや。」


「そう?」


私は背を向けて、2階にある自分の部屋まで駆け上がる。


ダダダダダ…ガチャ…バンッ


お母さんはそんな私を不思議そうに見ていた。


いつもの様に制服から部屋着に着替える。


そして、クッションを抱えてベットにダイブ。


な、なんだったんだろう、さっきの…キス…


『俺の事も考えて』って…


あんなの、まるで圭太が私の事…


す、好きみたいじゃん!


キスされた時の圭太の顔が思い浮かぶ。


いつもはヘラヘラしてふざけた様な顔してるのに、


さっきの圭太はなんか…〝男の子〟の顔だった。


しかも、圭太の唇は熱くて、意外とやわら…


「ああああああああ!!」


何考えてるの私!恥ずかしい!


恥ずかしさで悶え死にそう…!


「碧?どうしたの!?」


私の大声を聞いたお母さんが、階段を上がって来る音がする。


「な、何でもない!大丈夫だから来なくていいよ!」


私は慌ててそう叫んで戻らせようとしたが、一足遅かったみたいだ。


ガチャ…


お母さんが心配そうに私を見る。


「ちょっと…ホントに大丈夫?」


「だ、大丈夫だってば!」


「でもアンタ、顔真っ赤よ?」


「えっ!?」


自分の頬に手を当てると、確かに熱い。


ベットから起き上がり鏡を見てみても、茹でダコの様に真っ赤になっていた。


「熱でもあるんじゃないの?」


「ない!ないから!大丈夫!」


お母さんは眉間にシワを寄せて納得していない顔をしていたが、私は部屋から追い出した。
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