青い花束
side story ―Sana―

ピコンッ


【よかったじゃん!ドライブ楽しんで(^_^)】


「…LINE?」


「あ、えっと…はい。」


「やっぱJKだな〜。」


「はい…?」


「オレ、こないだスマホに変えたんだけど…」


うう…っあーちゃん、助けて!


送ってもらえるのは嬉しいけど、先生との距離が近過ぎて心臓が持たないよ…っ!


隣で話している先生をチラッと横目で見る。


今年から新任として入って来たこの先生は、


私のクラスの副担任で……私の好きな人。


体調が良くない私を車で送ってくれている所なんです。


運転してる横顔がめちゃくちゃかっこいい…!


「…松坂?オレの話聞いてる?」


「ぅえ…っ!?」


急に顔を覗き込まれて変な声がでてしまった。


ち、ちかい…!///


自分でも顔が火照っているのが分かる。


でも、もう外が暗いからか、先生は気付いてないみたいだ。


「せ、先生!ちゃんと前見てください!」


「あー、悪い。松坂が話聞いてくれないから…」


「え!聞いてました…よ?」


「じゃあ、何の話してた?」


「え…っと?」


「はい、聞いてなーい。」


「ご、ごめんなさい!」


私が謝ると、先生はハハッと笑う。


「冗談だよ。」と。


私は、この笑顔が大好きなんだ。


こんな事言ったら笑われるかもしれないけど、


きっと、一目惚れだったと思う。


始業式で見たあの時から、ずっと頭に焼き付いて離れない。



恋が始まったのは、あの日…私が一人で新しい教材を運ぼうとしていた時。


『うーん…重い…っ』


『これ、どこに運ぶの?』


『え…あ、先生…!』


『松坂さん…だよね?どこに運ぶの?』


『化学室、です』


『じゃあ、オレが持って行く。』


『え、でも…!』


『どーせ化学室行くし。ついで!』



私に向けられた、子供みたいな無邪気な笑顔。


あの笑顔を『独り占めしたい』と思ってしまった。


だから、あーちゃんと楽しそうに話している先生を見ると、胸が苦しくなる。
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