青い花束
「そんな事より、キミ松坂学園の生徒?」
大学生は私の制服をまじまじと見る。
「おいおっさん!碧の事見てんじゃねーよ!さてはお前が痴漢だな!?」
ちょっと圭太!余計なこと言わないでよ…!
せっかくいい感じ(?)なのに!
バカな圭太をまた無視して「はい」と返事をした。
「そっか。遅刻しないようにね。」
そう言って、大学生は私達に背中を向けた。
わわ、もう行っちゃう!
「えっと、本当にありがとうございました!」
「ん!じゃあ、またね!」
大学生は無邪気な笑顔で手を振った。
私はそれをぽーっと見つめる。
かっこいい人だったなあ…
「なあ、痴漢されたの碧だったのか!?」
こいつは本当に…!
圭太は「なあ、なあ!」としつこい。
「もう!そうよ!助け求めたのに、全然気付かないんだもん!大キライ!」
私はふんっと圭太に背を向け、次の電車を待つ。
圭太は1人でガーンとした顔をしていた。
あ!名前聞くの忘れた…!
連絡先は無理でも、名前くらい聞いとけばよかった…!
ん?でもあの大学生、〝またね〟って言わなかった?
1人でぐるぐる考えていたら、いつのまにか電車が来ていた。