青い花束
『2、3年生の皆さん。春休みは楽しめましたか?3年生は高校生活最後の年となりました。受験に向けて…』
始業式がはじまり、壇上で校長先生が長い長い話をしている。
「ふわぁ〜……」
我慢できず、大きなあくびが漏れてしまった。
やばっ。先生に怒られる!
慌てて周りを見渡すが、幸い誰も見てなかったみたいだ。
『続いて、新任の先生を紹介します。』
新任の先生の挨拶も長いんだよな〜。
早く終わってほしい…。
そんな事を考えながらぼーっとしていたら、突然女子の歓声が上がった。
キャアアアア〜!
歓声って言うより、悲鳴だなこりゃ。
女子の歓声は壇上に向けられているらしい。
「皆さん初めまして。今年からこの学校に勤務する事になった…」
ん?この声、どこかで聞いた事があるような?
疑問に思い、私も女子達の視線の先を見ると…
「あ!!!」
私のその大きい声に、一気に静かになる体育館。
は、恥ずかしい…///
私は真っ赤になった顔を隠すように下を向いた。
どうして?
何であの人がここに!?
だって、壇上で挨拶をしていたのは…
今朝、痴漢から助けてくれた、あの大学生だったのだ。
うそ…大学生だと思ってたのに。
「浜田唯斗(ハマダ ユイト)です。これからよろしくお願いします。」
大学生…いや、先生はそう言うと、あの無邪気な笑顔で笑いかけた。