青い花束

『2、3年生の皆さん。春休みは楽しめましたか?3年生は高校生活最後の年となりました。受験に向けて…』


始業式がはじまり、壇上で校長先生が長い長い話をしている。


「ふわぁ〜……」


我慢できず、大きなあくびが漏れてしまった。


やばっ。先生に怒られる!


慌てて周りを見渡すが、幸い誰も見てなかったみたいだ。


『続いて、新任の先生を紹介します。』


新任の先生の挨拶も長いんだよな〜。


早く終わってほしい…。


そんな事を考えながらぼーっとしていたら、突然女子の歓声が上がった。


キャアアアア〜!


歓声って言うより、悲鳴だなこりゃ。


女子の歓声は壇上に向けられているらしい。


「皆さん初めまして。今年からこの学校に勤務する事になった…」


ん?この声、どこかで聞いた事があるような?


疑問に思い、私も女子達の視線の先を見ると…


「あ!!!」


私のその大きい声に、一気に静かになる体育館。


は、恥ずかしい…///


私は真っ赤になった顔を隠すように下を向いた。


どうして?


何であの人がここに!?


だって、壇上で挨拶をしていたのは…




今朝、痴漢から助けてくれた、あの大学生だったのだ。




うそ…大学生だと思ってたのに。


「浜田唯斗(ハマダ ユイト)です。これからよろしくお願いします。」


大学生…いや、先生はそう言うと、あの無邪気な笑顔で笑いかけた。
< 6 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop