青い花束
「ゲホゲホ……ッ私が?圭太と?絶対ないよ。圭太は彼氏って言うタイプじゃないもん。」
「えー?絶対お似合いなのになあ。」
私、山本碧は17年間彼氏がいるどころか、恋愛すらした事がない。
容姿も頭脳も運動も、平々凡々な毎日だ。
どうやら紗那は、そんな私を心配してるらしい。
「まず、男の子をカッコイイと思ったことある?」
そう言われて、パッと頭に思い浮かんだのは唯斗先生だった。
先生は本当にかっこよかった…
痴漢から助けてもらったからってのもあるんだろうけど。
「あ、あるよ。」
「え!だれだれ!?」
紗那が興味津々に目を輝かせた所で…
キーンコーンカーンコーン
LTの鐘が鳴った。
「お前ら席に着けよー。」
チャイムと同時に教室に入って来たのは、50代のおじいちゃん先生。
そして、遅れて唯斗先生も入って来た。
教室内の女子がキャーキャーと騒ぐ。
「ワシがこのクラスの担任になった、原本(ハラモト)だ。1年間よろしく。」
おじいちゃん先生の挨拶に、ぽつぽつと拍手が起こった。
次に、唯斗先生が口を開く。
「えーと、副担の浜田唯斗です。新任で分からない事だらけなので、皆色々助けてね。」
先生が照れくさそうにニコッと笑うと、
おじいちゃん先生の時より何倍も大きい拍手が起こる。
女子達は小さい声で「カワイー」とはしゃいでいた。
私のクラスの副担なんだ…
後でもう一度お礼言っとこ。
そんな事を思っていたら、ふと紗那の言葉を思い出した。
『運命感じちゃうね♡』
いやいやいや…!運命なんてあるわけないし!
でも、偶然だとしても、少し嬉しかった。