どう愛し合おうが自由でしょ?
「おや、お嬢さんじゃないですか。そんな顔してどうしたんで?」
廊下で出会ったのは、幹部の中で最年長のクワノだった。
「クワノさん……。あの、次期カポの件って本当なんですか?」
クワノは自身の白髭を撫で、目を細めて微笑んだ。
「あぁ、本当ですよ。わしだけではなく、ミリーやウルラス、幹部全員が納得した事です」
「どうして…」
「お嬢さんは気付いておらぬかもしれませんが、お嬢さんは人をまとめる力がお持ちです。自信を持ってくだせぇ」
義父さんが一番信頼しているクワノの言っていることを、信用していないわけではない。
ただ、自信がない。
二番手の方が好き勝手できて、気が楽だ。
「お嬢さん。町に行ってみてはどうです?見廻りついでに美味しいものでも食べてらっしゃい」
「そう……ですね。行ってきます」