どう愛し合おうが自由でしょ?
クワノには、ご飯を食べてこいと言われたけど…。
……食欲がない。
とりあえず見廻りでもしようと、宛もなく歩いていた。
「あの」
「はい?」
話しかけてきたのは、若いスーツ姿の男。
優しそうな笑みを浮かべ、近づいてきた。
「人を探してるんですけど」
「迷子そうな子とはすれ違ってませんが……。どんな子ですか?」
「子というか、親父なんですよね……。ここの地に来るのは初めてなので、道が分からなくて」
旅行客という訳ではなさそうだ。
家族で旅行なら、スーツ着てないし。
「スキンヘッドの瞳が黒い人なんですけど…」
「見てないですね…。瞳が黒いってことは、東の方の人なんですか?」
「生まれだけで、育ちはこっちらしいです」
母親はこっちの方の人なのか、この男は綺麗な緑色だった。
探してもいいけど……、はっきり言ってそんな気分ではない。
深入りしない方が良いのかも…。
そう思って、ちらりと男の様子を伺うと……
「っ!!?」
真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ私を見つめていた。
まるで私を殺そうとしているかのような瞳が、私を縛った。
体が動かない。
心臓がうるさい。
体が熱い……