【第二章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
大広間の扉を開くと、眉間に皺を寄せた女官ら侍女らが部屋中を歩き回っている姿が視界に飛び込んできた。
眩いほどに日の光が差し込む大きな窓に、空を思わせるほどに高い天井は荘厳さを兼ね備えて城の特徴を大きく捉えている。
「なにかお探しですか?」
分厚く上質な深紅の絨毯を歩いて手身近な女官へ声を掛けると、その場にいた人物の視線が一斉にセンスイへと向けられた。
「どこにいらっしゃるのかしら……キュリオ様も姫様も。……っ貴方は!?」
「……ど、どなたですの? ここへ立ち入る許可は得ているのですか?」
センスイは、戸惑い半分驚き半分といった表情で困惑している彼女の、その前の言葉がひっかかる。
「私はセンスイと申します。姫君を探しているのですか? よろしければ私も一緒に……」
「な、なんの話かしら!? この国に姫様など存在いたしませんわっっ!!」
女官の背後に集まった侍女らも同意見とばかりに激しく顔を縦に振りながら、散り散りになってどこかへ消え去ってしまった。
「……よほど大切な姫君がこの城にはいらっしゃるようですね……」
センスイは明確な目的を定めたように口角を上げると、今度は中庭を目指して歩き出した――。
その頃、死の国では――。
「…………」
「…………」
しばし見つめあったまま動かないふたり。
沈着冷静な冥王の瞳には、この国に似つかわしくない、愛らしい天使のような幼子が両足を投げ出すようにちょこんと座ってこちらを見ている。
「お前……どこから来た?」
「ぅ、……」
何を問われているかわからないアオイには答えようがない。
マダラの足元には空になった丸いカプセルが一対と、その手には紙切れが一枚。そして……彼の背後で光る謎の箱にはこう書いてある。
【姫様ガチャ】
一方、変化のない精霊の国では――。
いつもと変わらず大樹の幹で目を閉じているエクシスの眼下では、粉々に破壊された謎の箱の残骸が散らばっていた――。
眩いほどに日の光が差し込む大きな窓に、空を思わせるほどに高い天井は荘厳さを兼ね備えて城の特徴を大きく捉えている。
「なにかお探しですか?」
分厚く上質な深紅の絨毯を歩いて手身近な女官へ声を掛けると、その場にいた人物の視線が一斉にセンスイへと向けられた。
「どこにいらっしゃるのかしら……キュリオ様も姫様も。……っ貴方は!?」
「……ど、どなたですの? ここへ立ち入る許可は得ているのですか?」
センスイは、戸惑い半分驚き半分といった表情で困惑している彼女の、その前の言葉がひっかかる。
「私はセンスイと申します。姫君を探しているのですか? よろしければ私も一緒に……」
「な、なんの話かしら!? この国に姫様など存在いたしませんわっっ!!」
女官の背後に集まった侍女らも同意見とばかりに激しく顔を縦に振りながら、散り散りになってどこかへ消え去ってしまった。
「……よほど大切な姫君がこの城にはいらっしゃるようですね……」
センスイは明確な目的を定めたように口角を上げると、今度は中庭を目指して歩き出した――。
その頃、死の国では――。
「…………」
「…………」
しばし見つめあったまま動かないふたり。
沈着冷静な冥王の瞳には、この国に似つかわしくない、愛らしい天使のような幼子が両足を投げ出すようにちょこんと座ってこちらを見ている。
「お前……どこから来た?」
「ぅ、……」
何を問われているかわからないアオイには答えようがない。
マダラの足元には空になった丸いカプセルが一対と、その手には紙切れが一枚。そして……彼の背後で光る謎の箱にはこう書いてある。
【姫様ガチャ】
一方、変化のない精霊の国では――。
いつもと変わらず大樹の幹で目を閉じているエクシスの眼下では、粉々に破壊された謎の箱の残骸が散らばっていた――。