†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
教室に入ってから、ずっとクラスの人たちからの視線が痛い。
転入生っていうのはこうも注目されるものだなんて知らなかった。
兎に角、居心地が悪い。
ってのは確かだね。
榎本先生に促されつつ教壇に立つ私。
クラス中の視線と注目を集めて、恥ずかしながらも言葉を発する。
「……えっと。桃井 瑠璃(ももいるり)です。よろしくお願いします」
( ……桃井。)
それは武爾さんと美和子さんの苗字。私が二人の娘だという唯一の証。