†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
皇帝の名のもとに
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——…目の前の”第二音楽室”の扉に琥珀が手をかけた時、一気に風が吹き抜けるような感覚が襲った。
一瞬、思考が止まった。
(今のは、何?)
琥珀を窺い見るも、彼は特になにも感じないのかその扉の中へと足を踏み入れた。
それに習って、私もそこへ一歩足を踏み入れた。
扉の中はアンティーク調になっていて、とてもじゃないけど学校の中とは思えない作りになっていた。
「……琥珀。ココは?」
琥珀はここに来て、ようやく私を視界に捉えた。
『……ああ。何か迷った時に俺はここに来る。だから、お前を連れてきた』
「……え?」
琥珀からみたら、私は迷っている風に映っているらしい。
そうだね、迷っているのかもしれない。
『ここを俺達は”時の部屋”と呼んでる』
時の部屋。
その響きはこの空間とマッチしていて、気に入った。”時の部屋”彼の放った言葉が頭の中に反響し木霊する。
( ……ん? )
「……琥珀、達って?」
『あぁ、』
琥珀が私の問いに答えようとしたその時だった。
彼の言葉を遮るように、扉が開く音がした。