†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
公園を横切り、真っ直ぐに琥珀の待つ車まで歩く。
入口付近には琥珀の乗った黒塗りの車が止まっていた。
俺の姿が見えたのか、ヘッドライトが光を放ち助手席からは皇帝の隊員が顔を出した。
俺は、車の後部座席に近づき隊員の開けたドアを横切り彼女を車に乗せた。
彼女を車に乗せる時、琥珀と目が合った。
「頼んだぞ」
『…ああ』
その返事を合図に車は動き出した。テールランプの光が徐々に見えなくなり、遠ざかっていく車の方を俺は走り去った後もしばらく眺めていた。