†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
†episode Ⅰ†
目覚めと皇帝
——…温かい何かが体を包んでいるような感覚がある。
そんな筈はないのに、どうしてだろう。
いくら温かいと感じた自動販売機の横だとしてもそんな事考えられないのに。
何故だか、とても温かかった。
あ、もしかしてまだ寝ぼけてるから寒さすら感じていないのかな?
とりあえず、起きたら理由が分かるからいいか。と、そのまま再び深い眠りに落ちてしまいたかった。
呑気な話だと思わないことはないが寝ぼけているせいか思考がどうも働かない。それどころか、頭が寝ている状態で出来れば今は何も考えたくなかった。
それでも何がここまで私を温めてくれるのか気になってしまうのも事実で、眠い目を擦った私はそのまま瞑≪つぶ≫っていた目を開けてみることにした。
想像したのは、やっぱり昨日の赤い自動販売機。
あれこそ私を温めているものだと信じて疑わなかった。
だけど実際に目に飛び込んできたのは昨日の公園でも、赤い自動販売機でも無かった。
私が見たのはーー、