†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
数分後、ディスプレイが光を放ちさっきと同様に無機質な振動音を奏でた。
『…はい』
「たった今、付きました」
電話は予想通り、皇帝のメンツからだった。
『…ああ。ご苦労、悪いな』
「とんでもないです!!松雪さんがお呼びでしたら、いつでもどこでもお迎えに上がりますよ!!」
『…フッ。そうか、期待してるぞ』
「は、はい!!」
そんな会話を終えて、俺は車を待たせているらしい場所へと向かった。
――…しばらく、車を走らせると目的の場所へと着いた。
そのまま右京に連絡した。
ワンコールで出た右京に少し驚きつつ、用件を告げ通話を終えた。
数分後に暗がりの中から人影が見えた。
右京は、腕に”猫”…いや、女を抱きながらこちらに歩み寄ってきた。
それに気づいた、助手席に座っていた皇帝のメンツ…涼(りょう)が早々と車から降り後部座席のドアを開けた。
後部座席に近づいた右京は一言二言、言葉をもらして俺に女を託した。
俺も運転していた、陸(りく)に車を出すように指示をした。