†皇帝-emperor-†《Ⅰ》



——ガチッ


さっきに比べると歯ぎしりも大分落ち着いてきたようだった。


手を握ったのはイイが、女の手は歯に負荷がかかりすぎた事で手にも力が入りすぎていて今度は手を解くのが困難になった。


結局、無理やり外すわけにもいかずに俺は手を繋いだまま再度床に腰を下ろした。


そこで俺は、女の手が震えてることに気が付いた。


さっきは無我夢中で気が付かなかった。


こいつ、もしかして、


俺の予想は見事に的中して次の瞬間には、



「…ぃ。……サムイ」



女は呟いた。


だが、ここには暖房器具なんて置いてなかった。比較的、そういったものを必要としない俺。


…あ゛ぁ!!


半分、ヤケクソだった。


俺はベッドの中に入り、女の体をそっと抱きしめた。


片手は繋いだままという妙な体制のまま。


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