†皇帝-emperor-†《Ⅰ》



私の返事に満足したらしく、不敵な笑みを浮かべる。



『…そうか』



ふいに優しい笑みを零すと、彼は首をコキコキと鳴らしながら立ち上がった。


身長がお高いようで。立ち上がった彼は恐ろしく長い足と美しすぎる顔立ちが際立っていた。


そして、思い出したかのように



『……お前、名前は?』



と言った。


そういえば名乗った記憶どころかここに至る経緯も未だに思い出せずにいた。



「…瑠璃(るり)。えっと…アナタは?」


『…松雪琥珀』



マツユキコハク。…綺麗な顔をした彼にピッタリな名前だった。



「綺麗な名前……」



と気付けば口からすべり出ていた。



(……私、何言ってんの!?絶対、変に思われたって!!)



そっと彼を窺い見た私は、正直彼の反応に心底驚いた。


彼が、口元に手を当てがい顔を赤らめていたからだ。



『………ッ』


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