†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
赤面しながらも、松雪琥珀は困ったような笑みを浮かべた。
『…そんな事初めて言われた』
「……え?」
そんなにも綺麗な容姿と名前をしていながら?
彼ほどの存在感を放つ人間なら嫌でも目立ってしまうだろうに。
そして私は、
『…ありがとな』
その言葉でさらに訳が分からなくなった。
”ありがとう”だなんて言われるようなこと私は松雪琥珀にしていない。
私はただ綺麗なものを綺麗と言っただけなんだから。