†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
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——…退院してからの俺の生活は一変した。
一段、足を掛けるだけで階段が悲鳴を上げるようなアパート住まいだった俺が、見上げるほどの門の先にある中庭を囲むような作りをした立派な洋風の屋敷へと移り住むことになった。
食べない日もあったくらい不健康な生活は、栄養士や専属の主治医がつき健康的なものへと変わっていった。
学校には相変わらずいかなかったが、傷が治れば行ってもいいと言われた。それまでは屋敷内で家庭教師を付けるとも言われた。
そして、学ぶことはそれだけに留まらなかった。
テーブルマナーに始まり、
英語
ドイツ語
フランス語
中国語
など数ケ国語を習うことを義務付けられた。
母親とはその頃から会っていない。会おうとも思わなかったが、多分意図的に母親とは遠ざけられていた。
そして、湯往から告げられた母親の近況は……
「……入院なさったそうです」
というものだった。