†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
促されるままに、入ったお風呂はあらかじめ彼がお湯を入れてくれていたらしい。
とりあえず、軽くシャワーを浴び足元からゆっくりと温める事から始めた。
数日ほどお風呂に入れてなかった事を今更思い出し、べたつき感が洗い流されていくのを感じすっきりとした気分になった。
そして、そこで目にとまったのがお洒落な猫脚のバスタブだった。
その猫脚のバスタブはどこか、彼のイメージじゃなくて思わず笑いを零した。
真っ黒なタイルの上に置かれたバスタブにゆっくりと足をかけ、中に入る。
おしゃれな外観とゆったりとしたスペースのある広い猫脚のバスタブに満足した私は”なんでも好きに使ってくれて構わない”という彼の言葉に甘えて、
彼の使っているであろう、シャンプーやらボディーソープやらを拝借した。
彼が愛用している物のは、どれも外国製品の様で初めて目にするものばかりだった。
物珍しい外国製品と猫脚のバスタブに胸を弾ませながら、お風呂場を後にした。