†皇帝-emperor-†《Ⅰ》



チャラ男——じゃなくて、榎本(えのもと)先生に連れられて私は1‐Bを目指した。


私の前を歩く彼、



「それにしてもお前……、」



榎本先生が後ろを振り向かずに口を開いた。



「なんで、ここを選んだんだ?」



ここ?……って何のことだろう。



「……その顔はもしかして知らないのか?」



「えっと……何がですか?」



ため息をひとつ落とした先生は、



「……ここ、去年まで男子校」



……へぇ~。そうなんだ?



「……分かってないな。元男子校に、それも去年までだ…、そんな所を女どもが選ぶと思うか?」



あぁ…なるほど!!



「…………って、えぇぇぇ!?」



元男子校って所までは、まあ良いとしても女の子がいないの??



「先生…女の子はこの学校、居るんですか?」


「……全くいないって言うわけじゃないが。ほとんど居ないな」


「……そ、そうですか」



女の子の友達作るの憧れてたんだけど。



まぁ、ほぼ居ないんじゃ仕方ないか。


……残念。


< 98 / 117 >

この作品をシェア

pagetop