FEEL《中》
その時に出会ったのがサチだった。


俺はサチに救われたようなものだ。


ちらりとむぅを見ると目に涙を溜めていた。



「そう、ですか、沢城さん。教えてくださって有難うございました。」



むぅは深くお辞儀すると部屋から出て行った。



「話は終わっただろ。」



綺羅さんは俺を冷たく見つめている。



「まだ何かあるのか?…これから長い付き合いになるかもしれない。面倒なことはできるだけなくしておきたい。」


『あ、あぁ。わかった。』


「…、」



綺羅さんは片眉を上げて俺を見た。
俺は疑問を消す為に口を開く。



『越という名前を聞いたことはあるか?』


「ねぇな。」


『ありがとう。じゃあ、』


「あぁ。」



俺は綺羅さんの目を見て言うと部屋を出た。
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