FEEL《中》
いつもだと、笑って金をぶんどられた奴は放置するけど今は機嫌が良い。


助けてあげましょう。


俺はポケットから鍵を取り出すとそれを自動販売機の本体に差し込んだ。


解鍵の音がして本体を開く。

そして落ちかけのココナッツミルクオレを彼女に差し出しまた本体を閉めた。所要時間約6秒。



「…、え?」


『誰にも言うなよ。作るのに苦労したんだから。』



俺が笑いかけると彼女は眉間にしわを寄せた。



「犯罪行為じゃないんですか?」


『それなら君も共犯だな。』


「…、」



俺はまた彼女に笑顔を向け、今度こそ自動販売機から立ち去った。


あの幹部会の後、沢山の情報を皇龍会の柚子という男が送ってきた。驚いたのは柚子という男の情報収集能力の腕前とその情報の信憑性。

きっと誰もが感嘆するだろう。

分かったのは、だいたいの全体メンバー数と上の奴らの呼ばれ方。そして特徴。

柚子という男は情報を渡すだけ渡すとむぅとは会わずに出て行った。



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