FEEL《中》
だって彼奴、面白がってわざと俺の背後に敵を連れてきそうだし。


うわ、なんかムカついてきた。よし。久茂に会ったら1発…、



「おい。あの女は?」


『うわぁ!綺羅さん、いたんですか!』


「初めからここにいたが?」


『え…?』


「安心しろ。お前が長い間、歩を見つめていたことは内緒にしておく。」


『…、なんか距離が遠くないですか?』


「…そんなことはない。」


『いや、遠のいてます。変な誤解はしないで下さい。』


「そんなものはしていない。」


『…わざとらしく目を逸らさないで下さい。』



そう言った後、俺は盛大に溜息をつくと立ち上がった。


足音が聞こえる。きっとむぅが帰ってきたんだろう。


ここは2人きりにしてあげよう。綺羅さんがそれを望んでいるとは思えないけど。
< 128 / 151 >

この作品をシェア

pagetop