FEEL《中》
『手加減してくれないかな?』


「それは承諾しかねます。勝ちたいので。」


『生意気だね。前言撤回、立たなくしてやる。』


「”やれるならやってみろ”って言葉を返します。」


『やっぱり、生意気だね。』



お互いに笑顔を浮かべて互いを探る。

残念ながら向こうから来て欲しいけどその気は無いらしい。



『んじゃ、先攻ってことで。』



わざと一歩退がり、相手の体重が釣られて前にかかったところで一気に間合いを詰める。


龍蔵は少し驚いた顔をしたが、その後微笑んでまた少し退がった。


そうなると今、龍蔵のすぐ後ろにはギャラリーが。



「おいおい、龍蔵。早く始めろー。」


「そうだそうだー。」



ギャラリーの急かす声が聞こえて龍蔵は少し顔を顰めた。
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