FEEL《中》
俺は思わず笑みを零した。


俺は龍蔵のその足を掴むと手前へ強く引っ張った。
よろけて転けた龍蔵に送襟締をする。



「やっべ。」



慌てた声が聞こえるがもう遅い。



「あ゛、だだだだだ、ギブギブ。」



龍蔵が白旗を揚げたことにより組手終了。



「ありがとうございました。」



不服そうに龍蔵は礼をするとギャラリーに混じっていった。
薙が近づいてきた。



「彼奴知らないんですよ。野良さんが柔道で全国大会準決勝まで行ったって。」


『うわ、そんなことまで広まってるんだ。』



そう、俺は柔道を小さい頃から習っていた。そして最高で全国大会準決勝まで勝ち進んだけど負けた。



『次の組手の時はやばいな。』


「そうですか?俺から見たら野良さんはとても余裕そうに見えましたけど…。」


『内心、すごい焦ってたよ。』


「そうなんですか?全然分かりませんでした。」
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