FEEL《中》
弥生は悠生の顔を見て嬉しそうに微笑んだ後、部屋を見回した。



「あっれぇ?影わぁ?」



その言葉に反応する俺達。あの女の前で言わないでくれ。

弥生は俺達の顔を見て何かを感じ取ったのか、



「ふぅん。」



と言うと悠生のソファに座った。弥生はとことん悠生が嫌いらしい。弥生はもう興味なさそうに下に落ちていた雑誌を拾い上げ読み始めた。



「これ結構古いよね。何ヶ月か前にコンビニで見たぁ。」


「弥生、どけ。」



サチがようやく言葉を発した。弥生は面倒そうに雑誌からサチへと視線を移した。



「なにぃ?」


「そこはお前の場所じゃねぇ、此処だ。」



サチはずっと空いていたソファを指差す。



「何で此処じゃダメなわけぇ?いいじゃんかぁ。」


「其処は悠生の場所だ。」


「はぁ?そんなこと知らないしぃー。」



弥生は口を尖らせて悠生を見た。



「ねぇねぇ、此処に俺は座っちゃダメなの?」



片眉を上げて悠生に問いかける。俺は内心ため息を吐いた。悠生が断れるわけがないじゃないか。



「…構いません。」



やっぱりか。もし弥生に逆らえば即皇龍会から追放だ。



「んじゃ、俺は此処に座りまぁす。」



サチを見てそう言うと満足したようでまた雑誌を読みだした。




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