FEEL《中》
戻ってきた、と茶髪の女は微笑を浮かべた。



「うっ…うるさいなっ!」


「図星だろ、認めろ。」


「そんなことない!」


「そんなことある。」


「前の時はそんなことなかった!」


「いや、前の時もお前は問題児だったね。」


「…、」



ルトはロウを睨みつけている。



「はぁ…いつものことね。」



スイはまた視線を本に向けた。



「ロウさんっ!お帰りなさい!」



ずっと黙っていた男が駆け寄る。



「おい、ザキ。ずっと待ってたのかよ。」


「当たり前です。俺はロウさんの側近ですから。」


「…そうか。」



ロウはザキの頭を優しく撫でると、ソファに座った。



「俺達とマナ、リズ共に収穫なしだ。」


「そう。」



ロウの発言に本から目を離したスイは悲しそうに俯いた。



「どこにいるのよ。」


「さぁな。」


「…、」




< 78 / 151 >

この作品をシェア

pagetop