FEEL《中》
「弥生。コレ付けとけ。」



朔弥が狐のお面を渡した。

弥生さんはいろいろなチームに潜入しなければならない。だから皇龍会にいる時は顔を隠して行動した方が都合がいい。



「今回は狐なんだぁ。」


「嫌なら自分で取りに帰れよ。」


「ねぇ、片道40分なんだよ?往復は2倍だよ?間に合わないじゃんかぁ。」


「少し遅い登場もお前には似合うんじゃね?」


「あ、それいいかも。」



弥生さんはぱっと顔を輝かせると携帯を取り出した。



「君たちは先に言ってて!俺はお面を取りに帰る!」


「早くしろよ。」



朔弥は苛立ちながらそう言うと車を降りた。

俺も黙って降りる。



「ねぇねぇサチの護衛クン。」



心臓がドキリと大きな音を立てて俺は止まった。



「くれぐれも俺達皇龍会の格を落とさないように、気をつけてねぇ。」



弥生さんが笑顔を向けているのが背中越しに感じられた。すると弥生さんは一度車を降りて自分の車に乗り込んだ。
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