不機嫌なキスしか知らない




「な、なに言って……」


だって私と紘が、って、そんなの。



カアッと熱くなる頬。

それを意地悪な彼は見逃してくれなかったらしい。





「顔赤いけどなに想像してた?」

「な、なにもしてない!」

「ふーん?」




やっぱり嫌いだ。こんな意地悪なヤツなんて。

恥ずかしくなって布団を頭まで持ち上げて隠れる。赤くなった顔なんて見られたくない。



と、少ししてからそっと捲られた布団に、紘とばっちり目が合ってしまう。





「っ……」



なんだか異常に恥ずかしくて目を逸らしたら、紘はびっくりするくらい優しい表情をして目を細めた。



< 122 / 275 >

この作品をシェア

pagetop