不機嫌なキスしか知らない
「な、なに言って……」
だって私と紘が、って、そんなの。
カアッと熱くなる頬。
それを意地悪な彼は見逃してくれなかったらしい。
「顔赤いけどなに想像してた?」
「な、なにもしてない!」
「ふーん?」
やっぱり嫌いだ。こんな意地悪なヤツなんて。
恥ずかしくなって布団を頭まで持ち上げて隠れる。赤くなった顔なんて見られたくない。
と、少ししてからそっと捲られた布団に、紘とばっちり目が合ってしまう。
「っ……」
なんだか異常に恥ずかしくて目を逸らしたら、紘はびっくりするくらい優しい表情をして目を細めた。