不機嫌なキスしか知らない
「自分も遊ばれてるんだからって麗奈も俺と遊ぶようになったけど、まあ可哀想ではあるけど、よく考えたらやってることは同じだよな」
はは、と切なげに笑う紘。
その横顔を、見上げる。
麗奈先輩は確かに可哀想だけど。
年上の彼氏は確かに酷いけど。
でもそれで紘の気持ちを踏み躙ってたら、麗奈先輩だって紘に対して同じくらい酷いことをしてるじゃないか。
……そして、私とキスする紘だって同じだ。
この話を聞いて、どうしようもなく辛くなった理由がわかってしまった。
紘にとっての私が、麗奈先輩にとっての紘であることに、気付いてしまったからだ。