不機嫌なキスしか知らない
「圭太は何出るんだっけ?」
「リレーと騎馬戦と…あと障害物競走」
「大活躍じゃん」
体育祭当日。
まだ体育祭が始まる前の準備をしながら、圭太と喋る。
サッカー部のエースである圭太は、体育祭では大忙しだ。
赤いハチマキがよく似合っていて、爽やかな笑顔が格好いい。
……きっと、菫ちゃんもそう思っているんだろうけれど。
そして今日は圭太が菫ちゃんに告白する日だ。
圭太はいつも通り話しているようだけれど、少し気合が入っているし、緊張しているのがわかる。
……それはつまり、私が失恋する日でもあるわけで。
あの日、保健室で、紘の前で。
吐き出した時には少しスッキリしたけれど、やっぱりいざ当日となると怖くてたまらない。