不機嫌なキスしか知らない
藍沢くんは泣いてしまうくらい、麗奈先輩のことを想っているのに。
それなのに麗奈先輩には、本命の彼氏がいるなんて。
それって、今の藍沢くんとの行為は遊びで、本気じゃないってことで。
好きな人には好きな人がいる。
その状況が自分と被って、胸が苦しい。
それなのに麗奈先輩は、藍沢くんの想いを踏みにじって、遊んでるなんて。
藍沢くんの気持ち、全然大切にしてくれてないじゃない。
「……遊ばれてんのに本気になるなんて、ばかみたいってことだろ。わかってるよ、そんなこと」
なにも言わない私に痺れを切らしたように、藍沢くんが口を開いた。
違う、そうだけど、違う。