不機嫌なキスしか知らない
真っ赤になっているであろう私の顔を満足げに見つめる紘は、そのまま唇を重ねた。
その唇を、もっと欲しがってる私がいる。
認めたくないけど、もう、とっくに──。
ちゅ、と触れた唇は、そのまま徐々に角度を変えて深くなる。
「名前、呼んで」
脳が痺れるくらい甘い声に、クラクラする。
「ひ、ろ」
「もっと」
「紘、」
「聞こえない」
「紘、紘……っ」
溺れるみたいな甘いキス。
本当に圭太への想いを塗り替えようとするようなそれに、頭が追いつかない。