不機嫌なキスしか知らない
「……頭、ぼーっとする」
やっと解放されて、大きく息を吸って。
恥ずかしくなって俯いたままそう言ったら、紘は意地悪に笑う。
「俺のことしか考えられない?」
「……そんなこと、ない」
そんな小さな強がりも、きっと紘にはバレバレなんだろうけど。
「……じゃあそろそろ行くか。
俺たちたぶん遅刻」
「え!?うわ、本当だ!」
慌ててスマホで時間を確認したら、午後の部はすでに始まっていた。
慌てて2人で校庭に走る。
圭太に失恋したことなんて忘れちゃうくらい、私の頭はさっきの紘でいっぱいだった。