不機嫌なキスしか知らない


『……なあ、俺たちも明日デートしよ』



「え……」



驚いて聞き返したら、照れ隠しみたいに、ぶっきらぼうな声が返ってくる。



『行くの、行かないの』

「……行、く」



ほぼ無意識にうなずいていた。
紘の優しい声に、操られるみたいに。




「どこ、行こうか」


『んー、アイツとの思い出の場所ってどこ?』



アイツって、圭太のことだよね……?

思い出の場所……。



『アイツとどこ出かけたの?』

「幼なじみだから、いろいろ出かけたけど……」


『じゃあ1番思い出に残ってるとこ行こう』



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