不機嫌なキスしか知らない







次の日。

随分早く起きてしまって、ていうか、むしろ眠れなくて。


圭太に「30分前は早すぎて怖い」なんて言ったくせに、私もかなり早く待ち合わせの駅前に着いてしまった。


早く着きすぎて紘に引かれたらどうしよう。



「紗和」



まだ待ち合わせの時間よりも20分以上も早いから、来ないだろう。

そう思って駅の柱に寄りかかりながら待っていたら、突然名前を呼ばれて、驚いて声の方を見る。



「紘、おはよう……」




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