不機嫌なキスしか知らない



「わあ、ここの水槽綺麗……」



暗い部屋の中、ひときわ綺麗に輝く水槽。

色とりどりの光が、水槽の水に反射している。


大きな水槽を見上げて、紘に声をかける。



「ねえ、ここってなんの魚……」




瞬間、そっと近づいた顔。

薄い紘の唇が、私のそれに触れそうになる。






『──ねえ、紘の触り方って優しいよね』





突然、玲奈先輩の言葉が脳内に蘇った。





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