不機嫌なキスしか知らない


『な、なにして、』



聞こえないような小さな声。

コソコソと紘に怒るけれど、満足げな顔で私を見下ろして笑うだけだ。



私、とんでもない人と関わってしまったのかもしれない。

昨日の唇の感触が、まだ残ってる。


温かい紘の手が、私の手の甲をすべる。

ぞくぞくして、頭が回らなくなって。
紘の手から熱が伝わって、私の身体中を毒が巡る。



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