不機嫌なキスしか知らない



『え?』

『隣の席の妹尾さんって子なんだけど、すげえ可愛くて』



嬉しそうに、照れくさそうに話す圭太を見て、目の前が真っ暗になった。

圭太に彼女なんてできるわけないって、油断してた。

圭太の隣は私なんだから、無理に頑張らなくていいって思ってた。


圭太の隣にずっといられる保証なんて、最初からどこにもなかったのに。

気付いた時にはもう遅くて、圭太にとって私はただの幼なじみ。

もう家族みたいなものになってしまっていた。


そして圭太は、私とは正反対の女の子らしい人に恋をしている。


……嫌なこと思い出しちゃったな。

圭太のせいだよ、と未だに妹尾さんの背中を目で追っている圭太を睨む。

ああもう、泣きそうだ。



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