不機嫌なキスしか知らない




「え、紗和、」



戸惑っている圭太を、紘はなぜだか睨んでいるみたいだ。







「──俺の、だから」









小さな声で、でもはっきりと。

紘がそう呟いたのが聞こえて、首をひねる。


何が……?




圭太が目を見張っているのを見て、紘は「じゃあ明日ね」と私の頭をぽんと撫でて背を向けた。



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