不機嫌なキスしか知らない



と、突然スマホが鳴って、メッセージの受信通知が来た。



『今井圭太:部活の後で妹尾さんと帰る約束した!』




嬉しそうな動くスタンプとともに、圭太からそんなメッセージが送られてきていた。


……見なければよかった、なんて思ってしまう。



着々と仲良くなっていく圭太と妹尾さん。
少しずつ離れていく私と圭太の距離。


……嫌だなぁ。


このまま時間が止まって、圭太の恋なんてうまくいかなくて、私のこと好きになってくれたら。


そんな汚いことばっかり考えてるくせに、この気持ちを伝える勇気すらない私がいちばんだめだ。


こんなのだから幸せになれないんだよ、私は。


だけど、だったら、どうしたらよかったんだ。


17年も一緒にいて、圭太は私を好きにならなかった。それが全ての答えだ。



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