不機嫌なキスしか知らない
「なにー?メッセージも1人で送れないなんてヘタレだなぁ」
「うるせー」
「しょうがないから手伝ってあげるよ」
泣きそうになった顔を隠すように、笑顔を貼り付ける。
こんなにもはっきりと私の方を見てくれていないのに、長年染み付いた私の気持ちはなかなか消えてくれない。
──もう何度、同じことを繰り返すんだろう。
圭太がどこか行ってしまわないように願うだけで。
自分はなにも失いたくないから、何の行動もしないで。
幼なじみでもいいからと、圭太を繋ぎとめるのに必死だ。
「やっと連絡先交換したんだ?」
「そう」
「一緒に帰ったりしてたのに連絡先は知らなかったの?」
「……まあ、うん」
何だか順番がおかしいところも、圭太らしくて可愛いなんて思ってしまった。そんなこと思いたくないのに。