不機嫌なキスしか知らない



「可愛い顔」

「っ……」

「いい声出せるようになったじゃん」




私の訴えは逆効果だったようで、さらに激しく求められる唇。


ずるい、きらい。


あんたなんか全然すきじゃないし、全然ドキドキなんてしてない。

だからこんなキス、ノーカウントだ。



……気付かないふりをしていた。


紘といるとき、紘とキスするとき。


その瞬間だけは圭太のこと少しも考えられなくなる、自分の気持ちに。




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