不機嫌なキスしか知らない



……どうしよう、これがヤキモチなんて可愛いものじゃなくて、ただ幼なじみの私が、悪い男に騙されてるのを心配してくれてるだけだって。痛いほどわかるのに。



私のために怒ってくれることが、私のこと少しでも大切に思ってくれてることが、嬉しくなってしまう。

圭太は怒ってるのに不謹慎かもしれないけれど。





「関係ある。紗和は俺の大切な幼なじみだから」




──幼なじみ。



その言葉が、嬉しくて、痛い。


幼なじみだから私たちは誰よりも近いし、幼なじみだから私はこれ以上圭太の近くに行けない。



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