不機嫌なキスしか知らない
「幼なじみだから何?幼なじみが誰と仲良くしたって、何も言う権利なくない?」
「紗和には幸せになってほしいから、紗和が遊び人に騙されかけてたら止めるよ」
ふーん、と紘が不機嫌な返事をする。
真剣な顔で答える圭太。
「でも自分が幸せにする気はないんだ?」
「は……?」
「幸せになってほしいなら、自分が幸せにすれば?」
「それは、違うだろ。幼なじみだし」
少し戸惑った圭太に、紘はへえ、とつめたい視線を返す。