不機嫌なキスしか知らない



「ふーん、じゃあね」




不機嫌な声。だけど、なんか、少しだけ……。




「ほら、早く」



急かす圭太と、何も言わない紘。




「……ごめん、まだやることあるから先帰ってて」


「え?」

「紘にも手伝って貰わなきゃいけないの。クラスの仕事だから」

「……わかった、じゃあ気を付けろよ」




圭太は納得いかない顔をしながらも、階段を降りていった。

紘は少し驚いた顔をして私を見ている。



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