世界はきみに恋をしている。
「えっ…?!」
返ってきた言葉が意外すぎて、私はノガミくんを見つめる。そしたら彼は、目をそらしながら頭をかいた。
「あーもう……。調子狂う……。」
「ご、ごめんノガミくん……」
ノガミくんは、そらした視線を私の方へと向き直して、こちらまで一直線に歩いてきた。
え、え、なんでなんで。
ノガミくんは私の目の前まできて、むぎゅ、っと私の頬っぺたを掴んだ。
「い、いひゃいよ、のひゃみふん…」
「お前、ここで寝るの禁止。
てかどこでも寝れるとかあほか?
少しは自分が女だってこと自覚しとけよ、チビ女」
そう言ったノガミくんは、怒りながらも優しい顔をしていた。
私はそこで、初めてノガミくんが心配していてくれたんだってことに気づいた。
ちょっと嬉しく思ったりもしたけど…
「ち、チビ女は関係ないでしょー!」
ノガミくんは私の頬から手を離して、声をあげて笑い出した。入部してきた時は、全然しゃべらなくて怖いイメージだったのに、ノガミくんは最近よく笑う。
わたしは、ノガミくんは笑顔が似合うって、そう思う。
「ノガミくん……ありがとう」
そう言ってカーディガンを差し出すと、ノガミくんは笑って、「どういたしまして」ってそれを受け取った。